クリニック等のご相談事例
クリニック、歯科医院等の就業規則を見ると以下のような所定労働時間の規定をよく見ます。
始業時刻:9時
休憩:13時から15時
終業時刻:19時
所定労働時間:8時間
一見何も問題ないように見えますが、クリニックのホームページを見ると以下の様に表示されています。
診療時間
午前診:9時から13時
午後診:15時から19時
現状では、午前診開始と同時に始業となっています。そこで実際にヒアリングすると、始業時刻前には、清掃や準備を行っているということがほとんどです。終業時刻も同様で、午後診終了後に後片付け等をしています。清掃や後片付けに時間外勤務として割増賃金を支払っている場合はまだしも、そうでないケースもあります。このような場合には、所定労働時間を以下の様に設定することも検討してみます。
始業時刻:8時45分
休憩:13時10分から14時50分
終業時刻:19時15分
所定労働時間:8時間50分
始業時刻終業時刻を15分、休憩時間前後は10分それぞれ変更しています。ただし、このままだと1日の所定労働時間が8時間を超えているため労働基準法第32条違反となります。そこで1か月単位の変形労働時間制の導入を検討します。
※1か月単位の変形労働時間制は、1か月以内の期間を平均して1週間当たりの労働時間が40時間以内となるように、労働日および労働日ごとの労働時間を設定することにより、労働時間が特定の日に8時間を超えたり、特定の週に40時間を超えたりすることが可能になる制度です(労働基準法第32条の2)。
クリニック等は、土曜日を午前診のみとしていることが多くあり、この様な場合に1か月単位の変形労働時間制の導入が可能となります。
月、火、水、金曜日の1日の所定労働時間:8時間50分
土曜日の1日の所定労働時間:4時間30分(8時45分から13時15分)
1週間の所定労働時間:39時間50分
実際に上記のような変更を行うと、労働条件の不利益変更となるため慎重な検討と労働組合等との調整が必要になります。